2012年5月4日金曜日

犬の病気大辞典


椎間板ヘルニア

背骨は、椎骨という骨がたくさん連なった構造をしています。椎骨と椎骨の間には、椎間板という組織がはさまっています。椎間板は、丈夫な袋の中に髄核というやわらかい組織が入ったもので、外部から加わった力をやわらげたり、背骨をなめらかに動かす役割を果たしています。この椎間板にひじょうに強い力が加わったり、老化などで骨が変性すると、椎間板がつぶれて、髄核が外にはみ出してしまうことがあります。この状態をヘルニアといいます。典型的な症状は、まひと痛みです。痛みのために犬は、体をさわられるのをいやがります。どのようなまひが起こるかは、髄核がどの神経を圧迫するかによって異なってきます。前足だけまひしたり、後ろ足だけ、あるいは体の片側だけまひすることもあります。ヘルニアが起こ� ��やすいのは、首のつけ根や腰など、ふだんよく動かす場所です。腰にヘルニアが起きた場合は、ふらついたり足をひきずるなど、歩き方に異常が見られたり、後半身全体がまひしたりします。尿や便のコントロールがきかなくなり、そそうをする場合もあります。


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治療法
脊髄への圧迫の度合いが軽ければ、副腎皮質ホルモン薬や抗炎症薬などの薬を用いることで、症状をある程度軽くすることはできます。脊髄が強く圧迫されている場合は、圧迫している髄核を取り除く手術が必要になります。髄核に酵素剤を注入して、溶かす方法もあります。手術をおこなった場合、ふつうに運動できるようになるまで、数カ月はかかります。


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股関節形成不全

股関節は、骨盤の臼状のくぼみに、大腿骨の頭の丸い部分がうまくはまりこんだ構造をしています。ところが、骨盤のくぼみが浅かったり、大腿骨の丸みがあまりないことがあります。すると、関節が完全にはずれたり(脱臼)、はずれそうな状態(亜脱臼)になります。これを股関節形成不全といいます。原因の七割は、先天的に骨の発育に異常があること、三割が環境的な要因といわれています。環境要因としては、成長時に標準以上に体重が増加することや、骨の成長に筋肉の増加が追いつかないことなどがあげられます。生後5〜10ヵ月までは、めだった症状は現れませんが、その後の成長に伴い、だんだん異常が現れてきます。初期には、腰をふるように歩いたり、内股で不安定に歩いたりします。後ろ足をそろえて走る「うさ� ��跳び」をすることもあります。また、散歩などの運動をいやがります。病状が進行すると、これらの症状がめだつほか、運動後に足をひきずる、座った姿勢を好む、歩幅が狭くなるといった症状も現れてきます。痛みを感じているときは、うまく立ち上がれなかったり、立ったときにキャンと鳴いたり、股関節をさわられるのをいやがったりします。



治療法
症状が軽ければ、運動制限したり体重を管理するだけで、症状がおさまることもあります。痛みには痛み止めや炎症を抑える薬を用います。痛みが強い、歩行障害が続く場合には、手術が必要になります。ただこれらの方法は、症状を取り除くためにおこなわれるので、治った後も再発する可能性はあります。そこで、再発予防や悪化防止のために、治療後のケアが重要になります。大切なのは、ジャンプや回転運動など、関節に負担のかかる運動を避けることと、関節に負担をかける肥満を予防することです。

 

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レッグ・パーセス

大腿骨の先端への血流が悪くなり、骨の変形や壊死がおこる病気です。生後4〜12ヶ月の10kg以下の子犬に発症します。股関節が正常に動かせなくなり、ある日突然後ろ足をひきずったり、上げた状態で歩くようになります。ほとんどが片足だけに起きます。


治療法
変形が軽い場合は運動を制限して様子をみます。悪化している場合、壊死した大腿骨頭を切除し、関節を整える手術をします。

 


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膝の前十字靱帯断裂

前十字靱帯とは、大腿骨と脛骨をつなぐ、十文字に交差した二本の靫帯のうち、外側にあるものです。年をとって膝関節が弱くなったり、肥満のために膝に大きな負担がかかったりすると、前十字靱帯が切れてしまうことがあります。靱帯が切れると膝に体重がかけられないため、切れた側の後ろ足を上げ、三本足でぴょこぴょこと歩きます。2〜3日すると関節が安定するため、外見上はよくなったように見えます。しかし放置しておくと歩行障害をくりかえし、関節が変形します。


治療法
たいていは手術をすることになります。他の部位の靱帯などを移植して前十字靱帯を修復したり、関節周囲の組織を強化して関節を安定させるなど、手術法はいろいろあります。

 



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